テーマはプログラミング観

この個展のテーマはなんといっても「プログラミング観」です.こんなものもプログラミング言語と言っていいんだということを展示してます.新しいアプリ2つというのも,新しい言語と言ってもいいでしょう.

ビスケットは2つの絵を使って時間的な変化を記述する,というプログラミング言語です.ビスケットが他のプログラミング言語と違っているので,こういうのはプログラミングとは言わないんじゃないかという人たちがいます.そういう人たちこそこの展示を見ていただきたい.ここにはビスケットよりももっとぶっ飛んだプログラミング言語があります.ビスケットはかなり大人しい方ですよ(笑).

まず3Dのコーナーにあるドーナッツという言語です.これは回転する棒があって,その先にボールをつけたとき,ボールを筆として立体を作るとどんな立体になるか,というものです.そのほかに棒を曲げるという操作がX-Y-Zの3つの軸に対応して用意されています.回転,棒,3つの曲げる,ボールの6つのブロックを組み合わせて形を作ります.ブロックの数値は変更できます.今回は一部の機能は隠していますが,パラメータを時間的に変更させる関数ブロックもあります.ここまで行くともう立派なプログラミング言語です.

もう一つ,動く模様のコーナーにある,シン・モーションという言語は,言語なんですけれどインタフェースもろもろはビスケットに寄生した形で作られています.特別な属性をもった絵が最初から用意されていて,その絵をステージに並べることがプログラムになります.たとえば,逆さYの絵は「3回対称」という命令です.それを一つステージに置くと,それが置かれた位置を中心にして空間が3回対称に変わります.魚を一つおくと,魚が3つになるということです.


ビスケットの機能が生きているので,このメガネで魚を動かすと3回対称の空間で3匹の魚が動き出します.この組み合わせがすごかったのは,3回対称の命令(逆Y)もビスケットからみると普通の絵なのでこれもメガネで動かすことができます.これは圧巻ですよ.

プログラミングと言える理由は組み合わせが可能ということです.たとえば,このほかに鏡の対称性の命令があるのですが,これを3回対称と一緒に置くと,万華鏡の空間ができます.2つの命令を置く位置で万華鏡の大きさや角度を変えられます.

これだけでも空間対称性を保った面白い模様が作れるのですが,まだ拡張の予定があって,それを入れたらもっともっとすごいです.

2つの応用ですが,今までのアプリだとメニューから大項目を選んで,選ばれた形のパラメータをスライダーで修正するというのが大半だったと思います.例えば,対称性模様を描きやすくするアプリはたくさん見つかりますが,どれもあらかじめ用意されている対称空間をメニューで選択するだけです.それに対して,シン・モーションは対称性の命令を組み合わせで空間をプログラムしています.あらかじめ用意してしまう方が簡単なんですが,そこをあえてプリミティブとそれを組み合わせるプログラミング言語という作り方をしています.

逆に,普通の言語から3Dタートルグラフィックのライブラリを呼び出してドーナッツと同じような形を作る方法もあります.その方が表現力が大きいですが,いろいろな本質的じゃない命令がたくさん出てきて,まちがえやすくなってしまいますね.

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