総務省の「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業に採択されました

28年度補正予算の事業に引き続きまして,29年度予算での総務省の「若年層に対するプログラミング教育の普及推進」事業に採択されました.

今回は,前二回とは異なって「障害のある児童生徒を対象としたプログラミング教育実証事業」ということで,かなり様子が異なっています.審査もかなり難航したのではと予想されます.僕もこの事業の委員をしていますが,同時に申請もしているので審査の仕事からは外していただけました.

私たちがこの事業で今回狙っているのは,もう一段上のプログラミング教育ということです.

前回は,すでに開発されているビスケットのカリキュラムを全国のいろんな学校の中で自主的に実施できる人を増やすという狙いがありました.講師の育成そのものです.デジタルポケットは採択された事業者のなかで,最多の11校で実施することになりまして,僕もすべての学校・地域に伺いました.

そこでは子供達に「はかせー」と迎えてもらったのですが,その子供たちの中には支援の必要とする子供も何人か含まれていました.しかし,普通にビスケットをやっている間にその違いに気づくことは少なく,終わった後で「あの子は特別支援級の子供なんですよ」と言われて,知ることがほとんどでした.

これ,子供向けプログラミング教育あるある,だと思います.他の言語・ツールを使ってらっしゃる方々も同じような経験をお持ちではないでしょうか.

プログラミングというのは,学校の普段の授業・生活とはまったく違う評価軸のもので,生じる問題も違ってくるということですね.むしろ,普段の授業でバンバン出来る子が,プログラミングで一人取り残されるという可哀想なケースもあったりして.我々が指導する場合はそういう子のほうに気を使います.

では,なぜわざわざ今回のように特別に支援の必要とする子供限定でやるのか.それで,わざわざやるからには,もう一段上のことを狙えるのではないか.という考えに至ります.

僕は何度かブログにも書いていますが,実際に子供が使っている現場から,いろんなヒントをもらっています.柔軟に考えられる子供だと,多少使いづらい機能があっても,自分でそのつかいづらさを補って,さらっと使いこなせるようになってしまいます.そういう子供を観察してもあまり得るものはありませんが,一つのことにこだわりすぎる子供だと,ちょっとしたことで操作が止まってしまったり,変な遊びに走ってしまったりしてしまいます.僕がこういう現場に立ち会うことで,アプリをどんどん更新しようと考えています.

これは,別の現場であった話ですが.ビスケットは絵を画面の端のほうに持っていくと消すことができます(正確にはできました,いまはできません).普通はだれもそんかことにすら気づきません.ところが,あるこだわりの強い子がそれを発見してしまって,絵が消えることが面白くなって,その操作をやめようとしません.指導している先生は,その日の反省会で「最初に,絵を消して遊んだりしない,ということをしっかりと彼に伝えましょう」ということをおっしゃってました.僕はそれを聞いていて,「いえ,それはビスケットの機能がわるくて,そもそも絵を消えないようにすればよいので,次回までに直します」と言って,修正しました.

プログラムの中身をご存知の方でしたら想像ができると思いますが,絵が消えないようにするためにはif文を1行追加すればよいだけです.ところが,そういう解があることをご存知ない先生は「絵を消して遊んだりしない」という注意でしか解決することができません.注意が増えると,他のいろんなところに悪影響を与えるので,極力避けたいですよね.

まずは,そういうシステムが改善して行く様子を,現場の先生に知っていただきたい.プログラムが作れるということは,一体どういうことなのかという.いろんな種類の子供の数だけ,問題がわきでて,そのつどビスケットが成長することになると思います.

もう一つ,考えたいのは,一人一人にあった教材を提供するということです.数字ばっかり描く子供,電車が好きな子供,絵を描くのが苦手な子供.いろんな子供に対して,全部違う教材を提供できるのがデジタルの強みです.

最初の段階では,我々が現場を見ながら先生と話をさせていただいて,次回の教材というのを個別に作って行くことになると思います.それらを何度か繰り返した後,最終的には現場の先生がオリジナルの教材を作れるようなシステムを提供できたらと考えています.

教材はもちろん,拡張をしたビスケットで作ります.ですから,先生ご自身で作ることもそんなに難しくありません.デジタルですから,作った教材は何度も再利用できますし,蓄積もされます.

毎回,いろんな子供たちのすごい発想には驚かされてます.それが,今回は時間をかけてたっぷりと驚かせてもらえるので,どんなことになるのでしょうね.

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