Viscuitの仕様は子どもが作っている2(お片づけ)

ビスケットが作られてから16年になりまして,最初のバージョンはwindowsとmacの上で動くインストールするタイプのアプリでした.ファイルの保存とか写真の取り込みとか,いま,普通のツールでやれることは全部やれていました.そこから,いろいろな理由がありますが,機能が削られて現在のようになってます.この変化の方向は,入門における障壁を極力するなくするということでして,逆に削ったことでビスケットでもっと深く作りたいという人には不便になってしまっているという申し訳ない部分もあります.この辺りは,どこかで入門用とプロ用に分岐してゆく計画ではおります.

で,当時のビスケットから削った重要な仕組みがあるのでそれをご紹介します.

みなさん,いらなくなったメガネや部品はどうします.どうしたいですか?GUIの文法だとゴミ箱に入れるですよね.で,僕も最初はなんの疑問も持たずにビスケットにゴミ箱を用意していました.

ところが,ある子ども.たしか年長さんくらいの女の子だったと思います.ゴミ箱にいれずに,とても変な操作をしていたんです.

ちょっと図ではわかりにくいですが,まずメガネに入っている部品を1つずつ,部品が元あった場所に戻して,最後に空になったメガネをメガネが最初にあった場所に戻していたんです.

これを見たときは衝撃を受けました.これはまさに幼稚園でしっかりと教えられている「お片づけ」ですよね.遊び終わったおもちゃはそのままにしないで,きちんと元に戻しなさいです.

僕は感動しましたよ.ビスケットの部品たちがおもちゃと同列に感じてくれていたということにです.そうなると逆にゴミ箱というのを作っていたこと自体なんか恥ずかしいですよね.

その後スマホが登場して,ゴミ箱なしという操作が割と広まってきた感はありますが,この話はスマホが登場する前で,コミ箱がまだ常識だったころです.

実は昔のビスケットにはメガネを複製するという機能もありました.これ,いまあったら相当便利ですけどね.でも,いまの入門用のビスケットにはありません.そういえば,大人の人でクラゲの足を広げたり閉じたりするアニメーションを作りたいとおもって,クラゲの頭の部分の絵をコピーしようとして,それができないと知って怒り出した人がいました.そんな機能を探して呼び出すより,もう一回描いた方が時間は短いんですけどね.コピーという操作を何の疑問もなく導入するのはソフトを作る立場からすると全然難しくないのですが,その操作を入れないということを貫くのは結構大変なんです.同じようなメガネが必要なら同じことをすればよいし,同じような絵が必要なら2回描けばよいのです.

そういえば,ステージにたくさん置かれている絵を一斉に消すには,普通のツールだと全消去という機能が必ずありますが,それもビスケットにはないですね.散らかしたら,同じだけ時間をかけて片付けなきゃないのです.

ゴミ箱もコピーも情報編集という操作です.コンピュータが一般に広く普及したのはこの情報編集の魔法にみんなが魅せられたからですね.なので,それができないコンピュータはコンピュータじゃないと思う大人がいても不思議じゃない.

ところが,僕はそういうもったいない誤解を解いて,本当のコンピュータの魔法である「プログラミング」を伝えたいと思ってやっているわけです.それで,ビスケットから情報編集的な仕組みを極力排除して,一緒に楽しく遊ぶおもちゃ感を大切にすることに決めました.

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