ビスケットの前のバージョンにはタイマーの機能がありました.メガネの動きを少し遅らせる機能です.といっても正確にはそのメガネの動作が遅くなるのではなくて,メガネはすぐに動作するけれど次のメガネに引き継ぐまでに時間を待たされるというもので,連続した動きに対しては動きを遅くしているように見えますが,そうじゃない場合にはちょっと「?」な動きをするものでした.
同じ仕組みでよければ今のビスケットに導入してもよかったのですが,そういった中途半端な仕様だったのと,それ以外の方法でタイマーは作れることがわかったので,導入してません.
というわけで,今回はビスケットでどうやってタイマーを作るかをご紹介します.実際にタイマーを作る方法は色々とあるし,自分で考えて作るのも難しくはないので,これまであえてご紹介してませんでしたが.最近ビスケットのユーザーが増えてきたということもあって,ちょっと初心者〜中級者向けの内容です.
画面設定はこのようにします.右側に魚とイカがありますが,魚のバーを右端にして画面は左右には繋がらないようにしています.イカはそのままなので,画面は上下には繋がっています.方眼紙はいちばん大きなのにします.
絵を3つ描いて,メガネとステージに並べます.メガネの説明ですが,^の絵が上に進みます.ステージは上下で繋がっているので上まで行くと下から出てきます.一番大きな方眼紙で縦のマス目は9個あるので9ステップ動くと1周します.次のメガネは^が赤い棒を超えるときに矢印を作ります.最後のメガネは矢印は横に進みます.ステージは左右で繋がっていないのでこの矢印は発射されて左端にくると消えます.これで,9ステップに1度矢印を発射する装置ができました.
タイマーの間隔を調整したい時には,たとえばもっと小さな方眼紙を使うのでもよいですし、縦じゃなく横で一周させてもよいでしょう.間隔を短くするのはもっと簡単で,
このように縦の矢印を描いて,縦矢印の下にきたらその上にジャンプする,というメガネを作ります.これで1ステップ短くなるので8ステップで1周になります.1マスではなくもっと遠くにジャンプするようなメガネを作ってもいいですし,
ステージに矢印を2つ並べて,2回ジャンプさせてもよいですね.ゲームの途中で球を発射する間隔を少しずつ短くするようにするにはこの方法が使えそうです.
もうひとつ別の技です.これまでの例ではずっと何回も繰り返して動きます.そうではなくて,決まった回数だけ繰り返したらそれで止まるようにするにはどうすればよいでしょうか.
半透明の色で丸を描き,2つ目のメガネ「^が赤い棒を超えたら矢印を作る」のところに丸をいれます.これで「丸があって^が赤い棒を超えたら,丸が消えて矢印を作る」になります.ステージには赤い棒の隣に丸を3つ重ねて置いています.色が濃く見えるのは3つ重なっているからです.
丸が1つづつへって,全部で3回矢印が発射されました.
ビスケットには「待つ」という機能や「くりかえす」という機能は明示的に用意されていません.しかし,この程度の工夫でそれに相当する機能は自分で作り出せます.
これくらいの機能を自分で作り出せるということは,もっと複雑な仕組みも工夫すれば作れるようになるということです.ところが,もし最初からそういった機能が用意されていたらどうでしょうか?その機能を使うのは簡単でも,ほんの少し先に進むだけで壁ができてしまいます.
それから,ここでは^や赤い棒など記号的な絵で説明しましたけど,これはゲームの世界観に合った絵を使えますよね.花が咲いていてミツバチが飛んでいるとか.用意されたタイマーだと本当に内部で待っている感じが見えませんがビスケットだと絵そのものが直接見せてくれます.