本記事は,「ゲームエンジン・ライブラリ・ツールの開発 Advent Calendar 2016」の5日目です.ビスケットをよくご存知ない方でも読めるように書いています.
ビスケットは,プログラミングを自分ではやらないような人たちに,少しでもプログラミングの楽しさとか可能性を知ってもらおうと思って2003年に作りました.そこから,機能を削ったり増やしたり少しずつ変わってきています.今は,スマホやタブレットでも遊べるようになっています.
ビスケットでのプログラミングは癒されるので,僕は寝る前にベットの中でプログラムを作って遊んだりしています.
今回,ゲームを作る人たち向けということで,ビスケットをゲームのプロトタイピングに使うことをご紹介します.
ペグソリティアというゲームを作りながらビスケットの説明をしましょう.ペグソリティアは並んでいるボールを一つだけ飛び越えてボールを取り除き,最終的にボールが一つだけになったら成功というパズルです.こんな風にボールが並んでいます.
絵を三つ書きます.穴が空いている絵,穴にボールが入っている絵,そして十字のマークです.
ビスケットのプログラムはメガネでつくります.
指のアイコンは画面をタッチするとという意味で,上のメガネは「ボールをタッチすると,ボールの上にマークがつく」下のメガネは「ボールの上のマークをタッチすると,マークが消える」というものです.メガネは左側を右側に変えるというビスケットの基本構造です.
さて,ボールを飛び越えたら途中のボールを取り除くというのは次のようにします.
「マークが付いているボール,付いていないボール,穴が並んでいて,穴を タッチすると,マークが付いているボールがジャンプして,間のボールを取り除く」という意味です.言葉で書くと長いですが,メガネをみるとシンプルですね.同じように4つの方向を全て作ると終わりです.
プログラムはこちらです.フラッシュかビスケットのアプリが入っているスマホやタブレットで開くことができます.
動いているところはこんな感じです.
ペグソリティアにはいろんな形の問題があるようなので,自分でもオリジナルの形を作ってみたいです.ところが,ちょっと適当にボードをつくってみたのですが,
これは解けない配置です.解ける配置を作るというのはなかなか大変です.作って遊んでみて初めて解けないってわかるのですから.
それで,プログラムを逆にしてボール一つからスタートして,タッチするとボールが移動して1つずつ増えてゆくメガネにします.これでできたボードは確実に解けることが保証されてますから,そのなかで面白い形を探すということになります.
一つだけ絵を追加しまして,1回でも使われた空白がわかるように青い四角を置いて行きます.最終的に,ボールの配置が面白くて,青い四角が一つだけ空白をさしている状態をつくればよいのです.
たとえば,こんな感じが求めているものです.
プログラムはこちら.
ちょっと時間がなくて,なかなかいい問題をつくれませんが,パズルを作ること自体が面白い遊びです.
いかがでしたか?ビスケットは画面の絵を書き換えるという単純なことしかできませんが,ちょっと思いついたらすぐに試せるということで,パズルゲームのプロトタイピングに向いていると思います.
過去記事の紹介ですが.斜めの落ちゲーのプロトタイピングの例は遊んでて病みつきになるルールは何かを色々と試しています.その他にも倉庫番,ライツアウトっぽいオリジナルゲームなども作り方が書かれていますので,ご興味ある方はぜひご覧ください.