ビスケットのオリジナリティーは図形の配置を柔軟に書き換えるという点にあります.ビスケットの前身であるKidsimはグリッド上に配置された図形を厳密にマッチングして書き換えるものでした.ビスケットはそこに柔軟性をいれたということですね.
ところが,ときには厳密な動作も欲しくなります.たとえばパズルを作るなど.そこで,厳密なマッチングで動作するモードというのが新しいビスケットに導入されました.
動きはビスケットらしくありませんが,逆にコンピュータらしい動きをします.また,ほとんどの皆さんがこの書き換え型の言語に慣れていらっしゃらないので,書き換え型言語全般のデモとしてご紹介します.
プログラムはこちらです.Flashで開きます.
順に見て行きましょう.
ステージには最初このようなものが並んでいます.これらの絵はグリッドのおかげで,ぴったりとした座標に並べられています.
最初の4つのメガネはつぎのとおりです.
新しいビスケットでは同じ条件のメガネが複数あったとき,ランダムにそのメガネが選ばれます(以前のバージョンでは何か一つが選ばれて,その後はそれが選ばれ続けました).
ここでは矢印の下に空白があると,空白を赤,青,黄,緑のいずれかのボールに変更するとなっています.
次の4つのメガネはボールの下に空白があれば落ちるというものです.
重要な点は空白も一つの絵であり,空白とボールとを入れ替えていることです.これで,ボールは重ならないで積み上がります.
落ちるのは一瞬ですが,その瞬間を撮影すると.
こんな感じになります.
すべての空白にボールが入ると,
のようになります.
このゲームの目的はある特定の並び方のボールを消して得点をかせぐというものです.特定の並び方というのは,ヒントとして画面の上にも書いてますが,メガネにすると,
です.ここで一つのメガネを拡大してみましょう.
赤いボールが3つ並んで,さらに指のマークがあります.指はこのボールをタッチしたら,という条件を表しています.そのときメガネの右側は
のようになって,3つのボールは空白に変わって,新たに爆発のマークが出ています.爆発は後で説明します.
新しいビスケットでは,タッチが入ったプログラムを走らせるためには,全画面モードにします.全画面モードは右側にあるのボタンを押します.全画面モードからの終了はバツボタンで,最初から実行させるボタンもあります.
さて実行させてみます.
左下の方に緑の並びがみつかりましたので,そこをタッチすると消せます.
するとまた空白ができるので,そこに上のボールが落ちてきます.
このようにして,ボールの並びを消しては,上から新しいボールが埋まってゆく,というのが作れました.
先ほど説明を省いた爆発マークですが,つぎのようなメガネになっています.
爆発は横に進みます.矢印にぶつかると,下に進みます.横棒にぶつかると薄い色ですが爆発が1点に変わりました.横棒の上に得点が表示されていきます.
得点は次のようになっています.
1点が濃く表示されていますが,これは1点の絵が5枚重なっています.この1点の部品を作るときに,半透明の色を使っており,絵が重なると色が順に濃く見えるようにしてます.ここでは1点が5個になると,5点に変わるというメガネになってます.その下にあるのは,5点が4枚あると20点に変わるというものです.これで,少し見にくいですけれども,一応得点の表示ができました.
ゲームで遊んでみると,4つのパターンが一つもないということにすぐにぶち当たってしまい,ちょっと難しすぎます.ゲームを少し簡単にする方法はいくつかあります.たとえば,消すことができるパターンをもっと増やすとか.盤面を大きくするというのも,よいです.実は最初に作ったバージョンでは盤面が小さすぎてすぐに詰みましたが,盤面を大きくすると可能性が増えるので,長続きします.
ここでは,新たに操作を追加して難易度を調整してます.同じ色のボールが横に2つ並んでいたら,その色を変える,というメガネを追加してみました.
なかなか楽しめます.横ならびを画面上でいくつもキープしておいて,進めるのが戦略のようです.消せるものが上と下にあった場合は上を先に消すとか.
この横並びで色を変えるルールを追加したことで,そこそこ楽しめるゲームとなりました.
さて,このプログラム,実に分かりやすくありませんか?修正・拡張したい箇所があったとき,どのメガネをどう修正し,拡張すればよいか,すぐにわかります.いろんな改造に挑戦したくなると思います.
新しいビスケットは,こういうパズル的なものも得意になりました.みなさんもぜひ遊んでみてください.