データで見るビスケット2020 -ファクトシート公開 後編-

前回はビスケットの利用状況を、サーバに保存されたデータから見ていきました。iOSアプリは255万ダウンロードされ、全国の77%の自治体から使われており、そして、約64万人の子どもたちが授業で使っていることがわかりました。

今回は、より具体的なビスケットの使われ方に迫ります。そのために、プログラミング教育に関して公開されている情報や、デジタルポケットに寄せられている授業実践例を紐解きます。そして、どれくらい、どの学年で、どの教科で使われているのかを見ていきます。

 

プログラミング教育ツールの中のビスケット

プログラミング教育ツールは様々ありますが、ビスケットはその中でどれくらい使われているのでしょうか。小学校プログラミング教育の現状が「学校における小学校プログラミング教育の実施レポート」に詳しく書かれています*。これらの事例で使われているプログラミング言語・ツールを調べました。その結果、1位が587件中221件(37.7%)でScratchを利用したものでした。そして2位が108件(18.4%)でビスケットでした。続く3位以下には、micro:bit、プログル、MESHが続きます(それぞれ30件前後(約5%))。これを見るとScratchとビスケットで全体の約55%を占めていることがわかります。Scratchほどではありませんが、ビスケットは小学校でのプログラミング教育実践に使われるツールとして、代表的なものになっていることがわかります。

 

ビスケットが使われている学年

そして、ビスケットは小学校のどの学年で一番使われているのでしょうか。こちらはビスケットのホームページの「ビスケット活用例交換サイト」に寄せられた事例207件を見てみました。すると1年生(22件)、2年生(49件)、3年生(44件)、4年生(43件)、5年生(28件)、6年生(21件)と、1年生から6年生までまんべんなく使われているのがわかりました。学年ごとの件数を見ると、中学年での利用が多いことがわかります。ビスケットは絵でプログラミングができ、低学年向けの授業に最適だと思われがちですが、学校の授業と絡めた活用としては中学年が利用できる幅が広いのかもしれません。また、5、6年生の授業でも活用されていることがわかります。「学校における小学校プログラミング教育の実施レポート」をみると、一番多い実践例が多い学年は5、6年生です。多くのプログラミング授業では、5年生以上のレベルの文字・数字操作が求められるからだと考えられます。これに対してビスケットは、低学年だけでなく中学年も含めた、5年生までの広い期間において、多く利用されていることがわかります。

 

ビスケットが使われている教科

では、どのような教科で使われているのでしょうか。先の「ビスケット活用例交換サイト」に寄せられた事例を教科で分けると「国語」が59件(28.5%)で一番多いことがわかりました。その次に「情報・プログラミング教育」(46件(22.2%))、3番目に「算数」(30件(14.5%))、4番目に「図工」(24件(11.6%))、5番目に「理科」(15件(7.3%))、そして「音楽」「生活」「社会」「外国語活動」「特別活動」が続きます。様々な教科で使われていることがわかります。中でも、学習指導要領で例示されている「算数」と「理科」を抑えて、「国語」に一番多く活用されていることは、特筆すべきとこだと考えられます。先の「学校における小学校プログラミング教育の実施レポート」では「生活」(20.78%)「算数」(18.4%)「総合」(15.8%)の順で、プログラミングが活用された授業が多く、逆に「国語」(7.2%)は非常に少ない割合になっています。

具体的な教科での利用方法としては「国語」については、文字・漢字学習や、詩や物語を絵を使ったシーンとして再現する方法として活用されています。「算数」では四則演算のクイズ作りや、図形を学ぶことに使われています。「図工」ではデジタルアートの体験などで使われています。これら授業例の多様さから、先生方がビスケットの絵を使う特色を解釈し、先生方のアイデアで授業を考え、活用している様子がわかります。

 

さて、今回はビスケットの授業利用について詳しく見てみました。「学校における小学校プログラミング教育の実施レポート」の実践において、ビスケットがプログラミング教育ツールとして、2番目に多く使われていることがわかりました。また「ビスケット活用例交換サイト」の授業例から、ビスケットが活用されている学年は低学年から中学年が多いことがわかりました。そして、教科については「国語」での活用が多いことがわかりました。ビスケットは他のプログラミング教育ツールと違い、文字・数字を用いません。また、命令についても順次処理を用いません。そのためビスケットの活用により、低学齢からコンピュータやタブレットに子どもが親しみを持てます。そして、プログラミングと学習の組み合わせが難しいと思われている領域で、授業の実施が可能になります。

これらのデータを記したファクトシートがダウンロードできます。下記の「きょうしつでビスケット」ウェブページの、資料ダウンロードフォームにアクセスしてください。
きょうしつでビスケットウェブページ
図とグラフを使って視覚的に構成していますので、ぜひこちらもご覧ください。

*)「小学校を中心としたプログラミング教育ポータル」にあるこのサイトでは2020年11月に公開され、それ以降随時、教育委員会や学校から寄せられた実施例が追加されています。このレポートからビスケットを利用しているものを抜き出し、何年生に、どの教科の授業で使われているかを集計しました。この記事では2021年4月13日の時点に掲載されていた587件のレポートを集計しています。

▶︎前編はこちら

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